火曜ブッククラブ

目には見えない大切なもの『マダム・キュリーと朝食を』

「東の都市」へと流れて来た猫と、震災の年に生まれた少女・雛の物語。目に見えないはずの“放射能”を、猫は「光」として、少女の祖母は「声」として受け止める。 時空を自在に行き来し、見えないものの存在を問いかけた長編小説。 この物語の一番のキーはき…

献立には人生をかけて『やわらかなレタス』

ごはんを楽しめるひとは人生を楽しめるひとだと、どこかで聞いたことがあります。 「ごはんの描写を美味しそうに書ける作家の作品はハズレなし」という自論を持ってるのですが、江國香織さんも外せません。 『やわらかなレタス』(文藝春秋)には、食事にま…

愛おしき、不気味な世界 『居心地の悪い部屋』

ホラーでもサスペンスでもなく、ファンタジーでもない。ミステリともちょっと違う。 描かれているのはごく普通の日常のはずなのに、読み終わったあとにひんやりとした後味の悪さが残る……。『居心地の悪い部屋』(岸本佐知子・編訳/角川書店)は、そんな短編…

心のつぶつぶを癒すエッセイ。『つぼみ茸ムース』

2017年も上半期が終わろうとしていますが、年始に出会った森博嗣さんのエッセイ『つぼみ茸(きのこ)ムース』(講談社)は、もうすでに今年のベスト・ブック・リストに入れようと思っています。 本著は森さんの「100のつぶやき」をテーマに、1テーマあたり2…