レースに寄り添う音楽

 

レースって、女の子みんな大好きなのではないかなと思います。

真っ白で無機質なお洋服でも、レースが付いているとなぜか嬉しくなるし、ガーリーなのにどこかエレガント。子どものときからおばあちゃんになっても身につけていたい、特別な存在です。

見かけは繊細で上品だけど、丁寧に丁寧に編まれたレースは時代を超えて愛されることもあるくらい、芯の強い丈夫な素材。そんな姿は、まるで乙女の生き方を指南してくれているようにも感じます。
『Sobacus vol.2』を読みながら、なんとなく考えていたこと。とっておきの日までレースに包んで、大切にしまっておきたい、そんな風に思わせる音楽を考えてみました。

 

 

 

◾️ショパンバラード第3番 変イ長調 op.47/ポリーニ(p)

ショパンピアノ曲は基本的にどれも乙女の課題曲。でもここは敢えて、定番のワルツやノクターンではなく、バラードを挙げたい。
第1番は映画などでもよく流れ、最近はフィギュアスケート羽生結弦くんが使用したということもあって有名ですが、ここではひときわ可愛くてロマンティックな3番を推します。

バラードはもともとサロンで演奏されることを想定して書かれていないということもあり、ドラマティックで悲劇的な構成を持つ音楽。ですが、第3番はサロン的な気品や華やかさ、どこかバレエらしい展開や演出もあり、当時のフランス社会の雰囲気も凝縮されている「ショパンらしい」作品のひとつ。

ディスクは無機質な美しさ、ポリーニのものをレコメンド。
完璧であり精密な彼の演奏から、滲み出るロマンティシズムを感じます。

バラード 第3番 変イ長調 作品47: バラード 第3番 変イ長調 作品47

バラード 第3番 変イ長調 作品47: バラード 第3番 変イ長調 作品47

 

 
◾️ラフマニノフ:チェロ・ソナタ ト短調 op.19/リン・ハレル(Vc),ウラディーミル・アシュケナージ(Pf)

ピアニストとして名を馳せたラフマニノフがひっそりと残した名作チェロ・ソナタ。「なぜチェロの曲を書こうとしたの?」「チェロという楽器があったから」。ロシアンらしい情熱と哀愁も丹念に込められている、貴重なチェロの楽曲です。
序奏のレントの美しさにまどろんでいると、そこから吹っ切れたようにドラマティックなアレグロ、アンダンテのロマンティックさ、そしてまたアレグロ。
伴奏のくせしてピアノがかなり難しいということにも、「さすがラフマニノフの曲」と言わずにはいられない。ピアノ伴奏とチェロが交互に旋律を織りなしていく姿は、もはやチェロ・ソナタというよりも超・小編成のシンフォニーもしくはコンチェルトではないか、と言いたくなってしまいます。


Rachmaninov Cello sonata in G minor op. 19 [1\4]

 

ディスクは、まずは名盤リン・ハレルのものを。大胆かつ情緒豊かで丁寧な演奏に、揺るぎない「王道」の姿勢がたまらなく美しい、入門盤の1枚。
少しひねった演奏がすきという方には、個性あふれるミッシャ・マイスキーベネズエラの気鋭セルジオ・ティエンポによる、艶やかな演奏もおすすめ。

ラフマニノフ:チェロ・ソナタ

ラフマニノフ:チェロ・ソナタ

 
チェロ・ソナタ ト短調 作品19: 第3楽章: Andante

チェロ・ソナタ ト短調 作品19: 第3楽章: Andante