心のつぶつぶを癒すエッセイ。『つぼみ茸ムース』

 

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2017年も上半期が終わろうとしていますが、年始に出会った森博嗣さんのエッセイ『つぼみ茸(きのこ)ムース』(講談社)は、もうすでに今年のベスト・ブック・リストに入れようと思っています。

本著は森さんの「100のつぶやき」をテーマに、1テーマあたり2ページほどの簡潔な文章を収録しています。内容は現代社会に関する意見、若者に対するメッセージから、プライベートな小話(ヨーグルトの話とか)まで多岐に渡りますが、目次だけ読んでもはっとさせられるものばかり。

 

目次(一部抜粋)
・「やらなければならない」は、「やれば良い」ではない。
・どんな社会が好きか、ではなく、どうすれば良くなるのかを考えよう。
・お金をもらうために仕事をする人の方が、安心して依頼できる。
・「書くつもりだ」と「書く計画だ」は大間違いである。
・タレントやアスリートは、品位方正でなければならないのか?
・友人が少ない僕です

 

一見、自己啓発本のようにも見えますが、決してそれだけではありません。 理想論をつらつらと述べるだけではなく、小言で終わらせることもなく、問題点をきちんと提起し、それに関してのデータや現状をきちんと自己分析する。そのうえできちんと自分の意見で締める……というあくまでも論理的な文章は、さすが作家のほかにも工学博士という肩書きを持つ森さんならではだなあ、と思いました。

日常生活に浮かんだちいさな「?」や、「これって私が間違ってるのかな?」と感じた違和感など、心のなかのつぶつぶとしたものたちをすりつぶしてくれるエッセイです。
SNSが蔓延し、他人の意見を赤裸々に見る・見られる現代はちいさな意見も過剰に大きくなる世の中です。なんだか面倒な時代になったなあ……と無駄にヒットポイントをすり減らす日々もありますが、森さんのようなおおらかな姿勢で、どーんと構えて過ごしていきたいなあ、と思いました。

 

 

 

森さんの公式サイトは、アニメに出てきそうな実験室みたいで可愛くて好きです。

森博嗣の浮遊工作室