献立には人生をかけて『やわらかなレタス』

 

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ごはんを楽しめるひとは人生を楽しめるひとだと、どこかで聞いたことがあります。

「ごはんの描写を美味しそうに書ける作家の作品はハズレなし」という自論を持ってるのですが、江國香織さんも外せません。 『やわらかなレタス』(文藝春秋)には、食事にまつわるショートエッセイを40編収録しています。

ごはんの写真はもちろん、イラストのひとつさえも載っていません。それどころか、食べ物のシズル感を事細かく説明せいているわけでもないのに、読んでいるだけで食卓の様子や頬張ったときの感情がじんわりと伝わってくるのだから、本当に不思議です。

私なら、断然鱈になりたい。
日本酒をお燗して、鱈ちりを食べながら思う。知性も品位もありそうだし、身が解けるところがいいもの。
ねぎや白菜を入れる人もいるけれど、私は鱈ちりに野菜は入れない。お豆腐と鱈だけ。静かなお鍋だ。

わたしたちの生活に「食事」というものは欠かせなくて、みんな同じように巡ってくる時間です。偉そうにグルメを語るひとなんていくらでもいますが、本当に普遍的な食事のシーンひとつひとつに物語を見出しているのは、とても素敵だなあと思います。

忙しい日々だけど、せめて食事だけはきちんと楽しんで、一食一食無駄にしないで生きたいなあ。

 

やわらかなレタス (文春文庫)

やわらかなレタス (文春文庫)