『エトワール』(2000年・フランス)

 

Today is #WednesdayWatching

***

毎週水曜日は映画を観る日。

 

f:id:maoitoh:20170621191709p:plain

 

オペラ座には偉大な歴史がある。美しききらびやかな舞台で、観るもの誰もを魅了するパリ・オペラ座バレエ。そんなオペラ座の裏で繰り広げられている闘いや葛藤、残酷なドラマを見つめたドキュメンタリー映画が『エトワール』である。

オペラ座には厳格な階級社会が築かれている。カドリーユからはじまり、コリフェ、スジェ、プルミエ・ダンスール/ダンスーズ、そしてエトワール。 エトワール(=星)こそ、誰もが憧れるダンサーの最高位だ。
カドリーユからキャリアを始めたダンサーたちは、年1回行われる試験を受け、それに合格することで次の階級に進む。
ただし、エトワールだけは別。総裁の指名を受けたものだけが、エトワールを名乗ることができる。

 

そもそもバレエ団に入るまでからすでに、熾烈な争いははじまっている。オペラ座バレエ学校を卒業しても、コールド(群舞)に空きがなければ入団することができない。卒業証書だけを手にして、学校を去っていくものも多くいるという。

入団できなかったら、どこに就職すればいいんだろう。
もしバレエができない体になってしまったら……。
引退したらどんな仕事をしようか……。
彼女たちが時折見せる表情や言葉には、生々しい悩みがあった。

 

わたしが特に印象に残ったのは、当時26歳のオーレリー・デュポン*のインタビューだ。 若くしてエトワールになった彼女は、常に注目され、人から過剰な敬意を向けられることもあった。
"Qu'est-ce que c’est la vie?(──これがあるべき姿?)"と自分に問いかける彼女の姿は、オペラ座の壮絶な舞台裏を物語っていたような気がする。

エトワールになることだけが幸せではない、と思う。でも、彼女たちはまっすぐに、淡々と高みを目指していく。それはバレエを愛する彼女たちにとって当たり前のことで、努力とかつらい、などの感情はないのかもしれない。

心身を削って、傷つけて、それでも輝こうとする彼女たち姿は、「星」という言葉が本当に似合う存在だ。

 

エトワール デラックス版 [DVD]

エトワール デラックス版 [DVD]

 

 

*オーレリー・デュポン(Aurélie Dupont ,1973年1月15日 - ):フランス・パリ出身のバレエダンサー。2015年に42歳で現役ダンサーを引退、2016年2月4日にはパリ・オペラ座バレエ団芸術監督に就任。